職場で、ある日突然「辞めたいんです」と後輩から真剣な顔で相談を受けたら、あなたならどうしますか?40代という年齢は、周囲からも信頼されやすく、経験も積み上がっている時期です。そんな立場だからこそ、ただ説得するだけでなく、後輩の本音や気持ちに寄り添いながら対応することが求められます。
この記事では、そんな場面にどう対応すればよいか、わかりやすく具体的に説明していきます。
まずはしっかり話を聞いてあげることが大切です
「辞めたい」と言われたときに大切なのは、すぐに「辞めるなんてもったいないよ」と反応しないことです。まずは、相手がどう思っているのか、どんな気持ちでいるのかを、静かに耳を傾けて聞いてあげましょう。
「そうだったんだね」「大変だったんだね」といった共感の言葉を添えると、後輩も安心して気持ちを話しやすくなります。ここでの目的は、後輩が「この人なら話してもいい」と思えるような雰囲気を作ることです。
信頼関係をしっかり築くためには、相手の言葉を否定せず、まず受け入れることが大切です。最初にちゃんと話を聞いてくれる先輩がいると、それだけで後輩の心は軽くなります。
相談内容を他の人に話さないことを約束する
退職の話はとても個人的なことなので、相談された内容を他人に話すのはNGです。「この話は誰にも言わないから安心してね」と伝えることで、後輩はより安心して話してくれます。
もしうわさ話として広まってしまうと、後輩が「もうやっぱり辞めるしかない」と思ってしまうこともあるので、絶対に秘密を守ることが大切です。こうした気遣いが、後輩との信頼をさらに深めます。
一緒にどうすればいいか考える姿勢を見せる
ただ「辞めないでほしい」と言うだけでは、相手の心には響きません。むしろ、「どうすれば今よりも働きやすくなるか一緒に考えてみよう」と声をかける方が、後輩にとっては心強く感じます。
たとえば、「仕事が多すぎてつらい」と言われたなら、「上司に相談して業務量を調整してもらえないか聞いてみようか」と提案できますし、「人間関係がつらい」と悩んでいるなら、「部署を変えるのも1つの方法だね」と一緒に選択肢を考えることができます。
また、具体的な提案はあくまでも選択肢として提示し、最終的な判断は後輩に委ねるようにしましょう。そうすることで、自立心を尊重しながらの対話が可能になります。
無理に止めるのではなく、後輩の悩みに対して本気で向き合おうとする姿勢が、心を動かす力になります。
今までの頑張りを具体的に伝える
人は「自分の頑張りを見てくれている」と感じたときに、自信を持てるものです。だからこそ、「〇〇の仕事、本当に助かったよ」「あのときの対応はすごかった」と、後輩がこれまでにやってきたことを具体的に認めてあげましょう。
そのうえで、「次はもっと大きなプロジェクトを任せたいと思ってる」など、これからの期待も伝えると、「まだここで成長できるかもしれない」と感じてもらえます。自分が必要とされている実感は、退職を思いとどまる大きな理由になります。
自分の経験を話すことで共感と信頼が生まれる
先輩としての立場を活かして、「自分も同じように悩んだことがあったよ」といった経験を話すのも、とても効果的です。たとえば、「あのとき本当に辞めようか迷ったけど、続けたことでこんな経験ができた」といった体験を伝えると、後輩も「自分だけじゃないんだな」と安心できます。
こうした体験談は、説得ではなく“共有”のかたちで行うのがコツです。あくまで自然な会話の中で、自分の思いを伝えることで、後輩の気持ちにそっと寄り添えます。
社内制度や別の道もあることを伝える
会社の中には、意外と知られていない制度や仕組みがたくさんあります。「希望の部署に異動できる制度があるよ」「スキルアップのための研修が受けられるよ」など、他にもできることがあることを伝えてみてください。
「今の場所ではつらいけど、別の環境なら頑張れるかもしれない」と思えたら、辞めずに続ける道も見えてくるかもしれません。
また、制度の使い方を一緒に調べたり、制度利用について相談できる担当者を紹介したりすると、より現実的に制度が活用できるようになります。
今すぐに変えられなくても「こういう制度が使えそうだね」と未来の選択肢として提示するだけでも、後輩にとっては希望になります。
最後は相手の気持ちを大事にする
どれだけ話し合っても、最後に決めるのは本人です。だからこそ、「君の気持ちは大事にしたいよ」と伝えることも大切です。無理に引き止めるのではなく、「もし辞めるとしても、またどこかで一緒に働けたらうれしいな」という気持ちを伝えると、後輩も「相談してよかった」と思ってくれるはずです。
無理やり引き止めるよりも、後輩の気持ちを尊重することで、今後の人間関係も良いまま続いていくでしょう。
退職の相談は、いつ起こるか予測できません。でも、相手の話をじっくり聞いて、信頼関係を大切にしながら一緒に未来を考えることで、よりよい結果につながります。40代の先輩として、これまでの経験と優しさを持って、後輩に向き合ってみてください。
きっとその姿勢が、後輩の人生にもプラスの影響を与えるはずです。
ありがとうございました。
それでは―
コメント